労働時間の融通が利く変形労働時間制
複雑なようで実は単純
労働時間に融通が利く働き方として変形労働時間制があります。フレックスタイム以外にも多様な働き方がある中で、変形労働時間制も注目されている制度です。労働時間を1日単位として計算するのではなく、月単位や年単位といった大きく見て計算する働き方が変形労働時間制です。複雑そうな働き方に聞こえますが、意外と単純な働き方である変形労働時間制について説明します。
変形労働時間制とは
変形労働時間制は一般的な働き方と違い、労働時間を大きな月単位や年単位で計算するシステムになっています。一般的な働き方では1日8時間で1週間では40時間と決められた労働時間があり、それを超過した分を残業として計算して直ちに給与として反映されます。
変形労働時間制では、月単位、年単位で労働時間を計算するため月の第1週に50時間で10時間の超過があったとしても、第2週では30時間の労働であれば第1週の超過は残業として計算しない働き方になります。つまり、時期によって繁忙期と閑散期に差がある業界や職種では変形労働時間制を取り入れる方が残業代のコストが削減されることがわかります。
清算する2つの期間
変形労働時間制では労働時間を超過してから即座に残業代が発生するわけではないことがわかりましたが、どの範囲で清算されるかを理解しましょう。変形労働時間制では清算する期間は2つの種類があります。1ヶ月ごとに労働した時間を清算して計算する種類と、1ヶ月以上を超える期間で清算する2種類となります。後者の多くは1年単位で就労労働時間を清算されます。
1ヶ月単位の清算
1ヶ月単位の変形労働時間制を導入している企業は、1ヶ月31日間の月では177時間が法律で定められた法定労働時間となっています。月初が繁忙期で第1週の7日間で52時間働いても、残りの24日間が120時間の労働時間であれば合計172時間の労働時間になります。この場合では法定労働時間の177時間を超過していないため、清算する1ヶ月単位では残業が発生していないという計算になります。
このことから1ヶ月単位の変形労働時間制を導入している業界は医療法人期間や介護事業所などに多く導入されています。
1年単位の清算
1年単位の変形労働時間制を導入している企業の場合だと、法定労働時間は1年間で2085.7時間となります。1ヶ月単位の変形労働時間制と同様に、1年間トータルで2085.7時間を超過しなければ繁忙期の1ヶ月間でどれだけ働いていても残業代は発生しません。しかし、1ヶ月単位で繁忙期とはいえあまりにも働きすぎることは危険なので、休日についても取り決めがされています。原則として連続で6日間までしか働けず、1日あたり10時間までなどの決まりがあります。